
戦争時に強いセクター・弱いセクター──「有事は買い」なのかを、冷静に考える
国際情勢が不安定になると、株式市場は一時的に大きく動揺します。いわゆる【有事】の際、市場はリスクオフに傾き、株価は急落することが多いものの、その後には意外な回復が見られることもしばしばです。
「有事は買い」という言葉が根強く残っているのも、歴史的にそのような反発局面が何度か見られたためでしょう。
とはいえ、本当に【有事】は「買い」なのでしょうか。今回のコラムでは、過去の戦争や地政学リスクの局面を振り返りながら、戦争時に強いセクター・弱いセクター、そして投資判断のヒントを整理してみたいと思います。
≪戦争時に強いとされるセクター≫
1.防衛関連(軍需)
軍事支出が拡大されやすく、兵器製造や航空宇宙などを手がける企業に資金が集まりやすくなります。
2.エネルギー(石油・天然ガス)
中東有事など、供給不安が高まると資源価格が急騰します。結果としてエネルギー企業の収益見通しが上方修正される傾向があります。
3.金(ゴールド)・金鉱株
「安全資産」の代表格である金は、戦争や大規模な地政学リスクの際に買われやすく、関連銘柄やETFも連動して上昇する傾向があります。
4.食料品・農業関連
食料自給の重要性が増す局面では、農業資源やインフラ関連が見直されます。コモディティ全般に買いが入るケースもあります。
≪戦争時に弱くなることが多いセクター≫
1.ハイテク・グロース株
金利上昇やリスク回避の動きに弱く、期待値で評価される銘柄ほど売られる傾向があります。
2.旅行・レジャー・航空業界
渡航制限や心理的な自粛ムードで消費行動が落ち込みやすく、特にインバウンド依存度の高い業種は厳しい局面を迎えることがあります。
3.金融株(特にメガバンク)
株式市場の下落や債券市場の乱高下、為替変動が激しくなるため、不確実性が高まる局面では敬遠されることが多くなります。
【『有事は買い』は本当か?】
有事直後は「売り」が先行することが多く、感情的な反応に市場が大きく揺れます。
しかしその後、市場が冷静さを取り戻すと、事実が明らかになった後には反発するというパターンが多いのも事実です。
これは、「不確実性のピークが過ぎた」ことへの安堵や、逆に「影響が限定的だった」との評価がなされることによります。
2003年のイラク戦争、2014年のウクライナ危機、2022年のロシア侵攻後なども、そうした局面が見られました。
【結論:タイミングと対象を冷静に見極める】
「有事=すぐに買い」というわけではありません。
重要なのは、「①どの局面か(初動か、事後か)」、「②どのセクターか(被害か恩恵か)」を冷静に見極めることです。
感情で動くと振り回されるだけになってしまいますが、『恐怖で売られた優良銘柄』や『需給で浮上するセクター』を適切に拾える目利きができれば、有事は確かにチャンスでもあるのです。
私たちは、そうした局面においても冷静な視点と知識をもとに、お客様の資産を守り、育てるパートナーであり続けたいと考えています。
