暴落した金と銀、2026年はこのままどうなっていく?

2026年、輝き続けてきた貴金属市場を襲った記録的な大暴落。特に金(ゴールド)と銀(シルバー)の急落は、多くの投資家にとって「有事の安全資産」への信頼を揺さぶる出来事となりました。

しかし、この暴落の裏側には、単なる価格調整ではない「金融システムの歴史的な転換点」が隠されています。独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、この事態をどう読み解き、2026年後半に向けてどのような戦略を立てるべきか。その核心に迫ります。

1. 暴落の引き金:「ケビン・ウォーシュ」という劇薬

今回の暴落の最大の要因は、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長にケビン・ウォーシュ氏が指名されたことです 。

ウォーシュ氏は、長年FRBが続けてきた「バランスシートの拡大(市場へのジャブジャブな資金供給)」を痛烈に批判してきた人物です 。彼が議長に就任することで、市場にはこれまでにない衝撃が走りました。

「通貨価値切り下げトレード」の逆回転: これまでは「ドルが刷られすぎて価値が下がるから、金・銀を買う」という流れが主流でした。しかし、ウォーシュ氏がバランスシートの縮小(規律ある通貨管理)を断行するとの見方から、この前提が崩れ、資金が一気に逆流したのです 。

フェド・プットの終焉: 「困った時はFRBが助けてくれる」という市場の甘え(フェド・プット)に対し、同氏は否定的なスタンスを取っています。これが投機筋のレバレッジ解消(投げ売り)を連鎖させ、特に銀においては1週間で価値が半減するという異常事態を招きました 。

2. 金と銀で「下落の深さ」が違った理由

今回の暴落では、金以上に銀の下げが目立ちました。ここには銀特有の性質が関係しています。

レバレッジの象徴としての銀: 銀は「貧乏人の金」とも呼ばれ、少額から大きな利益を狙う個人投資家のレバレッジ資金が集中しやすい資産です 。そのため、パニックが起きるとマージンコール(追証)による強制的な売りが金よりも激しく出やすくなります 。

需給のミスマッチ: 銀は太陽光パネルなどの工業需要が5割を占めます 。流動性が低下する中で、実需層が様子見に転じたことも価格を押し下げました 。

3. 2026年後半の展望:これは「終わりの始まり」か?

短期的な阿鼻叫喚(あびきょうかん)とは対照的に、長期的なファンダメンタルズ(基礎条件)には大きな変化がないという点に注目すべきです 。

構造的な供給不足: 銀は2019年から供給不足が続いており、地上在庫は枯渇しつつあります 。この物理的な「物の不足」は、投機的な売りが落ち着けば再び価格を押し上げる要因となります 。

中央銀行の「ドル離れ」: 新興国の中央銀行が、制裁リスクを避けるためにドルから金へシフトする流れ(年間1,000トン超の買い)は止まっていません 。

財政赤字の継続: 先進各国の財政赤字体質は改善されておらず、長期的には「実物資産」への依存度は高まる可能性が極めて高いといえます 。

4. 投資家が今、取るべき「3つのスタンス」

この荒波の中で、IFAとしてお客様にお伝えしたいのは以下の3点です。

  1. 「ペーパー資産」から「実物・生産資産」への意識: 先物やレバレッジのかかったETFなどの「紙上の資産」は、今回のような局面では一瞬で蒸発します 。長期保有を目的とするなら、現物や、キャッシュフローを生む金鉱株・銀鉱株を通じたエクスポージャーを検討すべきです 。
  2. ボラティリティを逆手に取る: 「上がっているから買う」のではなく、「調整したからポートフォリオに組み入れる」という本来のスタンスに戻る好機です 。金5,000ドル、銀100ドルという長期目標を掲げる専門家も依然として多く、安値での拾い場を探る「機関投資家的視点」が求められます 。
  3. ポートフォリオの「守り」の再定義: ウォーシュ体制下のFRBは、短期金利を下げつつ長期金利が上がる「スティープ化」を招く可能性があります 。金利が動く局面だからこそ、資産全体の1〜2割を貴金属に割り当てるという「伝統的な分散投資」の価値が再認識されています 。

結びに:嵐の後に残るもの

2026年の暴落は、これまでの「ジャブジャブな金融緩和」に慣れきった市場への強烈な警告でした。しかし、通貨の信認が揺らぎ、インフレの火種が消えない世界において、金や銀の普遍的な価値が失われたわけではありません 。

大切なのは、目先の価格に一喜一憂して「退場」することではなく、ご自身の資産形成の目的を再確認することです。

「この調整をどう生かすか?」

具体的なポートフォリオのリバランスや、金利動向を踏まえた個別戦略については、ぜひ私共IFAにご相談ください。不透明な時代だからこそ、冷静な判断が未来の資産を守ります。